お盆休み、ブーツに刻まれる思い出
お盆。
今年も東京の友人とキャンプへ向かった。
GWとお盆。
年に二度、この時期になると自然と予定が決まる。
お互いの住む場所のちょうど中間あたりでキャンプ場を探すのも、いつもの流れ。
今回選んだのは、長野県阿智村。
木々に囲まれ、そのすぐそばを川が流れる。
聞こえてくるのは、風に揺れる葉の音と川のせせらぎ。
都会から少し離れただけなのに、時間の流れまでゆっくりになったような場所だった。
GWには花桃が一面に咲き誇るらしい。
今回はその季節ではなかったけれど、
夏の緑に包まれた阿智村も、なかなかいい。
そして何より驚いたのが、その涼しさ。
8月だというのに、夜はパーカーを一枚羽織ってちょうどいい。
暑さに追われることもなく、ただ静かに過ごせる。
こういう夏を、ずっと待っていた気がした。
テントを張り、焚き火を起こす。
夕食は、いつものキーマカレー。
仕上げにチーズをのせ、炙って香ばしく仕上げる。
キャンプのときは、いつも自分が料理担当。
友人とくだらない話をしながら、火を眺めながら作る。
特別な料理じゃない。
でも、外で食べるカレーはどうしてこんなにうまいんだろう。
食後はコーヒー。
お気に入りの豆を挽いて、ゆっくりハンドドリップする。
その日の気分で、マキネッタにしたり、カフェプレスにしたり。
同じ豆でも、淹れ方ひとつで表情が変わる。
そんな小さな違いを楽しめるのも、キャンプのいいところだ。
設営の日も、撤収の日も空は快晴。
今回も天気には恵まれた。
……そう思っていた。
中日、少し出かけた帰り道。
山の天気は、やっぱり気まぐれだった。
突然、空が暗くなったと思った次の瞬間、猛烈な雨。
いわゆるゲリラ豪雨。
逃げる間もなく、全身ずぶ濡れ。
足元を見ると、履いていたフーガにも容赦なく雨が降り注いでいる。
気がつけば、靴の中に水が溜まるほど。
そして、乾いたあとに残ったのは、なんとも歪な革のシミ。
「やってしまったな……」
一瞬そう思った。
でも、革はこういうところが面白い。
どうせなら、と。
もう一度全体を濡らし、拭き取って、自然に乾かしてみることにした。
すると、さっきまで気になっていたシミが少しずつ馴染んでいく。
乾ききった頃には、むしろいい表情になっていた。
綺麗に整った新品の革にはない、不均一な色ムラ。
雨に濡れ、泥を踏み、火の粉を避けながら歩いた時間まで、少しだけ刻まれたような気がする。
思いがけず、今回のキャンプでフーガも少しエイジングが進んだ。
まあ、これもキャンプの醍醐味ということで(笑)。
自然の中で過ごす。
焚き火を囲む。
うまい飯を食べる。
好きなコーヒーを飲む。
そして、雨に降られて、靴まで少し育つ。
予定通りにいかないからこそ、あとになって思い出になる。
今回の阿智村も、そんなキャンプだった。
また次のGWか、お盆に。
今度はどこへ行こうか。
そんな話をしながら、今年の夏も静かに終わっていく。